10月8日(土)、「島の写真好き」として、真野・潮津の里へ招かれておりました。
さど女子ファンクラブのモニターツアー『山に海に魅力の島を見て撮って体感』というツアーの中で、
写真を撮るときのコツのようなものを教えて欲しいと・・・
写真のプロでも無いし、仕事だって忙しいし、まあ、即答で断りますね。依頼主が美人じゃなければ。
という訳で、即答で承ってしまいました。
準備不足と慣れないしゃべりで、伝えたいことの半分も話せなかった気がします。
補足と、備忘録も兼ねて、ここにメモしておきます。
1枚目の写真は、跳坂からの風景。島らしい風景、自分ちの説明など、こんなに便利な写真はありません。
絶景だらけの外海府は、写真家をダメにするところでもあります。だって、どこをどう撮っても綺麗なんですもの。
【霧の天然杉】
このツアー、翌日は石名の山へ上がると聞いていました。
翌日の天気予報は...雨雲が出そうで、参考になるよう雨や霧の日の写真を探してみました。
低い位置から、枝の広がりが分かるように。
横から見ると、こんな感じの枝ぶりです。
大木は全体をフレームに入れたくなりますが、
好きなコケの部分に寄ってみたり、
雰囲気のある部分に絞ってみたり、
幹と幹の間を利用してのフレーム効果、異世界感を出してみたり。
このときは、木や風景を「人のように」撮ろうと考えていました。
お天気の優れない日は、霧を活かして幻想的(←この言葉、安易で好きじゃありませんが)に撮るのがよろしいかと。
僕の知り合いは、巨木の肌艶にあやかりたいと触っていました。
雨上がりなんかは、つやつやで素敵です。
つやつやのてらてら。
雨のあとの魅力は、この水滴。
杉葉の先に、ちょこんと雨しずく。
逆光で寄ってみると、コントラストが高まって浮き出たように見えます。
山の楽しみは巨木だけじゃなく、控えめな植物たちを探すのも楽しいです。
さど女(←勝手に略します)のみなさん、どんな写真が撮れたのでしょうか。
【光を描こう】
"Photograph" は「光で描く」ってこと。カメラを手にしたら、いつも光の向きや強さを意識すると良いと思います。
岩首の棚田。水平線から、朝陽が顔を出したところ。
まともにカメラを向けると、フレアやらゴーストやら余計な光が写ってしまうため、いろいろと工夫をしています。
相川・春日崎、石灯籠と薄明光線。
雲間からでも太陽光は明るいので、かなり暗めに撮っています。
願の田んぼ。1枚前のとカブってましたね・・・
大佐渡スカイライン。
とてもお手軽に、感動的な雲と光の風景を見ることができます。オススメ。
大佐渡スカイラインの道中、道遊の割戸が見えるポイント。
夕陽の頃、金山が金色に染まり、向こうに望む海も金色、なんだかめでたい風景です。
こちらは、虫谷の入江。
たまたま、光の射す瞬間に居合わせました。
外海府の海岸線に咲く岩百合。光の入れ方で、印象が変わってきます。
石名の田んぼ。こんな水面があれば、カメラを低く構えて水鏡に。
雲自体も、光を受け止めるに良い素材です。
特に秋、様々な形の雲が、光を受けて輝いています。
太鼓の面が、レフ板の代わりになっています。光を反射するものは、なんでも便利に使いましょう。
雪のあるシーンでは、雪があっちこっちから光を反射してくれます。肌が明るくなり、人を撮るのに最高です。
夜、いろんな光が入っています。星空、雲海に映る人工光、その向こうは新潟の灯。
夜の乙和池。昼間は上からの光が強過ぎるので、思い切って夜の撮影。ほとんど真っ暗なので、光がほぼ均一です。肉眼では暗闇ですが。
【人を入れて撮ろう】
相川・北沢浮遊選鉱場跡のライトアップ。これはこれで、遺跡中心で良いのですが、
人のシルエットが重なると、なんと言うか、ストーリーが感じられます。美しいお嬢さんのシルエットなら、なおのこと。
岩首・竹灯りの集い。竹灯籠だけでも美しく、そこに星空と、さらに浴衣の美女。じっと海を見つめていました。
小田のひまわり畑。親子が見えると、ちょっと微笑ましい写真になりますね。
夕暮れどきの千畳敷。コントラストを上げて、影絵のように。
かわいいかわいい後輩です。カメラを構える女子の姿が、大好きです。単焦点でマニュアルピント合わせしてたら、個人的には満点です。
【視点を変えてみよう】
先ほども紹介した北沢浮遊選鉱場跡。地元にあると慣れてしまい、いつしか、行くのはライトアップのときだけに。
いつもと違う角度から見てみると、ちょっと新鮮です。紅葉でカラフルになるのも発見でした。
岩首の村と、天の川を一緒に写したくて、漁港の先端の行けるところまで行ってみました。
だいたい、人の行かないところへ行くと絶景が待っています。ただし、安全第一で、危なそうなら引き返すこと。
飛び込む子どもと、海の青さ、同時に撮りたくて岩場をよじ登りました。
「こんな写真が撮りたい!」というイメージがはっきりしていると、どう動いたら良いのか分かるのですが、
はっきりしないうちは、いろいろ動いてたくさん撮って、その中から自分の求めるものを探って行くのが良いと思います。
2016年、一番たくさん撮った花は、秋桜でした。
気どらない、かわいらしい花です。
視点を変えることで、表現の幅が広がる花だと思います。
逆光で透かすの、好きです。
好きな構図になるまで、好きな色が出るまで、いろいろ試してみましょう。
【カメラの設定をいじってみよう】
最近のカメラは優秀ですが、ときどき気持ちを汲んでくれません。
オートで撮ると、奥の木々にピントが合いますが、僕の目は雪を見てたんですよね。
そうなると、マニュアルでピントを合わせるしかありません。
波打ち際のきらめきも、カメラは砂利を写そうとします。
目に映るきらめきを撮りたいときは、カメラのオート設定を疑ってください。
ピントのほかにも、絞り、露出、感度、フラッシュのON・OFFなどなど。
とりあえず難しいことを考えたくなければ、絞り優先にして、絞りを少しずつ変えて、撮っては確認、撮っては確認・・・ですね。
慣れてきたら、次は露出を少しずつ変えて・・・白は白く、黒は黒く撮れるよう気をつけています。
【テーマを決める】
姫崎灯台。
長手岬灯台。
沢崎鼻灯台。
数年前、島内の灯台を撮って歩いていました。道標が欲しかったのでしょうか・・・今となっては分かりませんが。
写真は、どう撮るかという技術以前に、何を撮るかということ、テーマ設定が大切だと思っています。
灯台なら灯台とテーマを決めて撮り続けていると、ただただ撮り続けたことが、意味のあることになりますし、
写真を続ける動機にもなり得ると思うんです。長く続けるためのテーマ設定。長く続けると、だいたい上手くなります。
好きなものを撮るのが、良いと思いますよ。
【最後に】
さんざ上手に撮るコツみたいな話をしていましたが、正直なところ、ピンボケでもブレブレでも良いんです。
良い写真かどうかなんて、自分が決めることなんですから。
僕は、この写真を撮っているとき凄く楽しくて、もう、設定なんか関係なく反射的にシャッターを切っていました。
そのときの「楽しい」が写ってる気がして、好きな写真です。
好きなものに出会ったとき、楽しくて仕方がないとき、右手にカメラがあったら、良い写真が撮れるに決まってます。
失敗しても良いんです。たくさん写真を撮ってください。